何グラムあるかと、どこに重さを感じるかは別の話だ。重心と持つ位置を分けて考えると、重い・軽いだけでは見えなかった違いが分かる。

重さと、重心は別の数字だ。

シャープペンシルの重さは、何グラムと書ける。重心は、一本のどこで釣り合うかという位置の話になる。

同じ重さでも、先端側に金属が集まっているのか、後ろ側にあるのかで、持ったときの感じは変わる。だから「重いから書きやすい」とも、「軽いから疲れない」とも決められない。

重心が公式に示されている製品もある。ソリッドライトのカタログには、軸の図と重心の位置が載っている。一方、重量だけが案内されている製品もある。

ここでは測定結果を並べるのではなく、手元の一本をどう確かめるかを考えたい。

釣り合う場所を、探してみる。

机の近くで、横にした指の上に一本をそっと乗せる。前後に動かして、傾きにくい場所を探す。その付近が重心の目安になる。落とさないよう、もう片方の手を添えておく。

指には幅があるので、これで精密な測定ができるわけではない。それでも、先端寄りか中央寄りかを比べる手がかりにはなる。

距離を記録するなら、どこを先端とするかをそろえる。芯を出した長さや、キャップを付ける位置でも条件が変わる。重量も、芯と消しゴムを入れた普段の状態で量る方が比べやすい。

メーカー公表値と自分で量った値は分けて記録する。量りの細かさによっても差が出るので、数字の桁を増やすだけでは正確にならない。

低重心は、持つ場所と組み合わせて考える。

低重心は、一般に先端寄りへ重さを配した設計を指す。ペン先の安定を狙う製図用や、一般筆記用にも見られる。

ただし、重心が低いことと、すべての人が疲れにくいことは同じではない。先端を近くで持つ人と、後ろを持つ人では、指にかかる力の感じが違う。

先端の重さを頼もしく感じるか、動かす負担と感じるか。細かな文字を書くのか、大きく線を引くのかでも、好みは変わる。

重心だけでなく、握る場所、軸の太さ、全体の重さを一緒に見たい。

十グラムの差も、答えにはならない。

十グラム違えば、持ち替えたときの印象は変わるだろう。ただ、ここでいう十グラムは考えるための例で、店で測った二本の差ではない。

メーカー公表値の例では、S20の〇・五ミリは十八グラム、ソリッドライトは約二十三グラムだ。材質も形も違うので、その差だけから書きやすさの順位は出せない。

重い一本が好きでも、毎日何本も持ち歩くなら、筆箱全体の重さが気になることもある。机の上だけで使うのか、鞄に入れるのか。一本を使う時間の外にも、選ぶ条件はある。

数字は比較の入口で、好みの代わりにはならない。

いつもの一ページで、確かめたい。

持ち比べるなら、いつもの紙に、いつもの文字を書く。試せる範囲で、短い線だけでなく文章も書いてみる。

書いている間に握り直していないか。必要以上に力を入れていないか。速く書いたときに扱いやすいか。誰かの点数より、自分の手に起きていることを見る。

琴平文具店のこの特集では、製図用の形、木軸の素材、価格帯の違いも別々に紹介している。重心だけで決めず、気になる条件を行き来して読んでほしい。

十グラムの差を、指は知っている。ただ、その差を好きになるかどうかは、持つ人が決める。

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